その男、ナカヤヒデキ。
面構えは東映任侠映画の出演者の如く。
構えるベースは年代物のホロウボディー。
その鋼の弦を叩き付け、歌い、ガナり、叫ぶ。
時折、見せる不器用な優しさを孕むメロディー。
問いかけるように穏やかに、確かめるように力強く。
池下にあるレアチーズケーキの様な佇まいのバーで僕は初めて君のライブを見た。
ステージを降りた君に感想を述べると人懐っこい笑顔で美味そうにビールを飲みながら熱く、今後の活動について饒舌に語った。
かなり、語った。
相当、語った。
わかった、っつう位、語った。
君の酒癖をその時、知ったわけでもある。愛すべき男、である。
先に発表されたシングル同様、ゲストミュージシャンを迎えて制作された本作。
もう、後には引けない、30半ばの男の決意である。
ナカヤヒデキ1st ミニアルバム
「鐘を鳴らせ」
音楽を通じて出会った遠くに暮らす友へ宛てられた1曲目「鐘を鳴らせ」。
そして、東北での大震災直後の不安と混乱を不穏なベースラインと率直な視点で語り、叫ぶ2曲目「地震のうた」。
ハードコアバンドでの活動から離れ、繰り返すだけの日々の中で沸き上がった再起への決意を歌う、3曲目「夏の終わりに」。
バンドでの再活動も考えられたであろうが、彼は独りで歌い始めた。何よりも抑えきれない思いに突き動かされて。4曲目「衝動」。
このミニアルバムの最後を飾るのは旧知の仲間とのセッションにより一発録音された5曲目「光と夜とブルースと」。この曲で彼は新たな一歩を踏み出す。
その男、ナカヤヒデキ。
今日も何処かで、歌い、ガナり、叫ぶ。
その歌は、やはり、優しい。
その歌は、やはり、優しい。
tori(レコーディングエンジニア)
ナカヤヒデキ BLOG
http://blog.goo.ne.jp/nakayahideki
【収録曲】
1. 鐘を鳴らせ
2. 地震のうた
3. 夏の終わりに
4. 衝動
5. 光と夜とブルースと
【レーベル】
ishimatagi records